Drupalを一言で例えるなら、オールインワンである。このCMSは基本的なコンテンツ管理はもちろんのこと、フォーラム、コメント、ブログ機能を標準で持っている。他のCMSと比べると、かなりの強欲だ。しかも、動作が軽快だ。多機能で軽い。驚異的である。
これだけ優れたCMSなのだが、同じ系統のCMSであるJoomla!やブログ中心のWordPressに大きく人気で差を付けられている。これは、全世界で見たときだ。
日本で見てると、WordPressが独走しており、次は世界的にはもう下落してしまったxoops、そしてJoomla!、Drupalの順だ。といっても、この3つはそう大きな差があるわけでない。
では、ゆっくりと考えてみよう。多くの機能を包含した優れたCMSであるはずのDrupalが、なぜに人気が無いのかをだ。
まず最初にインストールだが、他のCMSとたいした変わりはない。比べれば、特に難しいわけでもないし、優しいわけでもない。今やどのCMSもインストールは非常に簡単である。各CMS日本語版HPを読みながら行えば、まず間違えずにおこなえるはずだ。
さて、問題は次である。インストール後に管理画面に入っていろいろと設定する段階だ。まず、Drupalが初めてな人がこれを見たら、面食らってしまうだろう。あまりに多くの項目が目に入ってしまう。どれをどう設定すればいいのか、一目でわかる人はいないだろう。
他のCMSに比べてインターフェイスが洗練されていない。たくさんの機能が詰め込んであれば、ユーザーは喜ぶだろうと考えるのは、開発屋の考えだ。一般的なユーザーを考えれば、一度に「あなたが設定しなくてはならないのは、全部でこれだけあります」と見せられればげんなりし、難しい顔をされ、「これはちょっと違うかな」と言われてしまうのだ。
しかも、時々システムのクリーンナップスクリプトを起動してあげないと、管理画面で注意されてしまう。Drupal自体はPHPで書かれたプログラムで、自起動する手段は持っていない。Unix/Linuxで標準的に用意されているcronという、プログラムを時間起動する仕組みを利用しなくてはならない。
cronも知っている人には簡単だ。しかし、CMSを目的としている人がシステムに詳しいなどと前提してはならない。これは、かなりのハードルだ。
一方の雄、Joomla!が人気を博している理由は、全く逆のアプローチを取っているからだろう。最初は全くの役立たずだ。せいぜい、記事を作成し、メニューを設定し、表示してみるくらいだ。しかし、ユーザーは最初、このCMSの基本的な部分に集中し、学習することができる。管理サイト(バックエンド)とユーザーサイト(フロントエンド)が分かれているのは、好きずきがあるとは思うが、優れたユーザーインターフェイスが、理解を助けている。
実は、この最初の一山を超えるとDrupalのすばらしさがわかるのだが、ユーザーに一山を越させるのはとても大変なことなのだ。
では、あなたがこの超重量級設定画面の洗礼を乗り越えて、Drupalの甘い汁を味わうことができる段階へと到達できたとしよう。
まさに全てを含んでいる。多分、数個の拡張機能を追加すれば、大抵のユーザーは満足するだろう。
だが、全てがそろっていて、標準的なまま使用できると言うことは、すなわち、Drupalで作成されたサイトが似たような感じに仕上がってしまうと言うことだ。
もちろん、他のCMSもその傾向はある。いや、古典的だが「ホームページ」の時代から、サイトの構成はそれほど進化していないから、皆似ていると言えば、似ている。
それでも、機能を後付していくCMSはその選択で、サイトの趣が少しずつ異なっていく。ある意味、個性が出てくるのだ。
日本人にとって、Drupalの基本的な部分は全部翻訳されているというのは、うれしいことだ。Joomla!やWordPressでは、追加する拡張ごとに、日本語パックを探すか、あきらめて英語の渦に巻き込まれることを覚悟して使用しなくてはならない。
もし、あなたが、Drupalに独自の味を付け加えるために、自分で拡張機能を追加した場合、他のCMSと同様な苦労を背負わねばならない。我々、日本人にとって、拡張機能は、英語との戦いなのだ。
次にテンプレートである。基本、一つのシステム規模が大きいと言うことはテンプレート自体も仕組みが多くなり、作成の手間が増えると言うことだ。これは、制作サイドとしては、コストの問題になる。実際、マーケットが小さいという点もあり、有料で提供されるプロフェッショナルテンプレートが少ない。無料のテンプレートの数も、Joomla!とWordPressに比べ、かなり少ない。
ユーザーから見れば、選択肢が少なくなると言うことだ。個性を出したかったら、テンプレートを選ぶだけは十分でなく、多少は手を加える必要があるだろう。
しかし、基本に含まれている機能を使っていれば、生成されるページはデザインが統一されており、ちぐはぐ感が全くない。当然、はじめから組み込んである機能にはデザイン的にも、統一感を持って表示されるように作られているからだ。例えば、Joomla!にフォーラムを組み込んだ人ならわかると思うが、拡張であれ、外付けであれ、本体とは異なり、独自のデザインで開発されている。本体のテンプレートは本体のみに適用される、拡張や外付けのシステムには当然ながら、適用されない。そのため、目障りな違和感、不統一感が生まれてしまう。Drupalなら、これを防ぐことができる。
更に、拡張機能の提供元は自己主張が好きだ。"Powed by"の表示で、せっかくあなたが設定し磨き上げたサイトに、余計で、ださいリンクを強要してくる。Drupalを基本機能だけで構成すれば、この余計な宣伝リンクで読み手に水を差すことは無くなるのだ。
実際、どのCMSも一長一短がある。ある程度、サイトの仕組みが理解できている方、もしくは拡張などを探すために時間を費やすのは無駄と思える人には、とても有益なCMSである。完成度の高いサイトがあっという間に作成できるのだから。
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